第2章 デザインとプランニング: 植栽計画


第2章 デザインとプランニング Design and Planning 


ఔ 植栽計画 PLANNING THE PLANTING ఔ


美しい菜園の植栽の多くは一年を通じて定期的に植えていく一年草ですが、高木や低木、多年草なども当然使います。木々はもちろん永続的ですし、多年草もまた少なくとも半永続的な植物ですので、植える場所はデザインの段階で注意深く計画することが大切です。とは言っても、植えたあとで失敗だったと気づいたとしても、そのままずっと歯をくいしばって耐え忍ぶ必要はもちろんありません。高木や低木は植えて1年から2年程度は移植しても大丈夫ですし、多年草はいつでも移植することができます。実際、ほとんどの多年草は2,3年ごとに掘り上げて株分けして植えなおすことが必要になります。ですから、最初にうまく植えるにこしたことはないですが、あまり深刻に考える必要はないのです。



 まず高木の種類を選んでどこに植えるか決めましょう。ここで大事なのは、庭に合うサイズかどうかです。第5章(P.121)にある狭いスペースのための高木のリストが選定に役に立つでしょう。高木はその周りの植物の生育に影響しますから、一緒にどんな植物が植えられるかが大きく変わってくることに留意して下さい。大きく木がそだってくると、地面には日陰をつくりますし、他の植物と水や養分を奪い合うことにもなります。

 もちろんそれで高木をあきらめる必要はありません。花を咲かせる植物で日陰を好むものも多数ありますし、いくつかの野菜もそうです。ですから、木の下で育てられるものはたくさん見つかるでしょう。土の栄養についてはいくらか配慮が必要ですし、水遣りも必要となるかもしれませんが、それは問題ではありません。

 この庭では、高木は純粋に美的な理由で選定されたわけではありませんから、そのことは承知しておいて下さい。最初に、もちろん、純粋に生産的な、つまり果実をつける木をあなたは選ぶかもしれません。そう考えるときに、もし園芸店のカタログに春にはたくさんの白やピンクの花をつけ、そのあと夏の終わりには赤や黄色や色とりどりの握りこぶしほどの大きさの実をつけるような木があったら、あなたはそれに飛びつくことでしょう。そしてそれは、もちろん、リンゴの木のことです。

 高木の選定でもう一つ留意したいことは、野生生物、特に鳥たちをどれくらい惹きつけるかという点です。どんな木でも鳥が止まる枝はあり、巣を作るところも提供するでしょう。虫が隠れる場所を提供する木も多いでしょうし、虫は鳥を惹きつけます。もし、ナナカマドのような木を選べば、秋から冬まで木の実のごちそうを提供することでしょう。ガーデナーによっては鳥が木の実を食べてしまうのを好ましく思わないようですが、欠点より利点のほうがずっと多いと思います。木の実は秋までずっと残ることが多く、鳥が木の実を食べに来るのをみるのは楽しいもので、木の実がなくなるのを償って余りがあります。結局、庭というのはずっと変わらないものではなく、生きていて変わっていくものです。さらに、もしあなたが鳥たちに優しければ、それに応えて害虫退治もしてくれます。

 花の咲く木は昆虫を集め、その中でもとくにミツバチは大変重要です。ミツバチは植物の受粉に重要な役割を果たしており、果樹もまたそうです。リンゴの木の受粉にあまり自信がないようでしたら、よく花をつけるクラブアップル(小粒で酸味の強い野生のリンゴ)を一つ植えてみてください。あとはミツバチがやってくれるでしょう。

 樹種を選んだら、植える場所を決めるときに太陽の位置とその陰になる位置を考慮します。一般的には木は花壇の中央にうえるようにします。花壇に踏み入れることなく通路から手が届くような花壇の縁の部分は野菜や一年草に適した場所ですので空けておきます。

 低木やバラを植えるときもまったく同じように考えます。花壇を覆いつくすような植物を植えるのは避けて、花壇の中心近くに植えるようにします。

 高木や低木は一度植えつけたらそこに植えっぱなしにするのが最良ですが、多年草は適宜植え替えることができます。多年草は花壇の縁の近くに植えられますし、2、3年の周期で植える場所を変えることもできます。実際、この種の庭では、植栽はたいへん多様ですので、伝統的に行われる野菜の輪作をしようというのは論外です。私が強く勧める唯一のルールは、直前に植えられていたのと同じものを植えるのは避けるということです。ですから、2,3年して多年草を掘り上げて株分けしたものは、別の場所に植えつけ、野菜や一年草にはもとあった土を改良して使用することができます。

 これらはもちろん常に変化していきますから、最初に計画に含めておく必要はありません。もしあなたがとても几帳面な方なら各季節ごとに植える場所を計画するかも知れません。しかし、そのような面倒な仕事はあなたを苦しめることになりかねませんから、私のお勧めの方法は作物を収穫して空いたスペースに次のものを植えつけるという方法です。このようにするためには、次に植えつける植物を何種類かポット苗で準備しておくことになります。こうすれば少しでも利用できるスペースを無駄なく利用できるという大きな利点があります。庭は一杯満ち溢れてすばらしく見え、収穫もずっとずっと多くなります。