第9章 ソフトフルーツなど: (5) イチゴ

第9章 ソフトフルーツなど  SOFT FRUIT - AND SOME OTHERS



ఔ イチゴ STRAWBERRIES ఔ



 イチゴは最も適応性の高いソフトフルーツでしょう。ボーダーで育てられますし、パティオのコンテナでもよいし、ハンギングバスケットでも育ちます。そして植え付けてから9ヶ月でたくさんの実をつけるのです。育てやすく、例外はありますが、自家受粉で実をつけます。葉は魅力的で、背丈の低い草花と一緒にあるととても素敵です。魅力的な白い花と赤い果実というご褒美までついてきます。 


品種 Varieties



 新しい品種がガーデナーにも育てられるようになって、6月から10月までほとんど途切れなく収穫が続けられるようになっています。実際、温室やクローシュでの促成栽培をすれば、早ければ5月から収穫できます。

'Pantagruella'は、もっとも早生の品種で、促成栽培にお勧めです。収量は必ずしも多くはありませんし、味も旬の時期の品種ほどではありません。しかし、買えばとても値段の高い早い時期に収穫できるという意味ではとても良い品種でしょう。

'Idil'は初夏にたくさんの実をつける味の良いイチゴの品種です。最近何年か私も育てていますが、その際立った特徴は病気にかかりにくいことです。農薬を使わない庭では大切なことです。

'Elsanta'は農園でもよく育てられている旬の時期の品種です。とても元気に育ってたくさんの収量と良い味を持っています。すこしウドンコ病にかかりやすいといわれていますが、私の庭の硬い土でも特にトラブルは経験していません。もし軽い土壌なら、植える前に十分肥やしを入れ、乾燥した天気では水やりをします。

'Hapil'は、収量は'Elsanta'と同様ですが、ウドンコ病にはかかりにくい品種です。味はこれも素晴らしいですが、バーティシリウム萎凋病やアカダニには弱いといわれています。これも私の経験では特に問題ありませんでした。


'Pandora'は最近紹介された夏と秋の収穫の品種の隙間を埋める品種です。実がよくついて味もよいのですが、受粉のための他の品種を必要とします。しかし心配は無用で、夏収穫の品種のどれからでも受粉できるからです。

'Aromel'は秋に収穫の品種では最良です。春に実をつけることもありますが、花をつみとって9月から10月まで力を蓄えるようにします。実は大きく、味も最高です。

'Serenata'は変わり者ですが、装飾的菜園のために作られたような品種です。小さな植物として広がっていき、とてもよいグランドカバーとなります。葉も魅力的ですが、花が濃いピンク色をしているのが特に目立つ特徴で、夏のあいだずっと咲いています。初夏と秋の初めにつける実は小さいながら、味がとてもよいです。他の品種にはないじゃこうの風味がかすかにあり、とてもお勧めの品種です。



植え付け Planting


 ガーデンセンターに行けばほとんど一年中イチゴの苗を買うことができることがわかります。しかしそれはあまり意味がないと思います。植え付けの時期は8月か9月で、フルーツ苗専門業者から買うのがベストで、少なくともウイルスがついていないことが保障されているところから買うべきです。イチゴはウイルス病にかかりやすく、きれいな状態の苗から始めるのが重要です。

 もし苗を8月か9月に植えれば、次の年はしっかり収穫ができます。それより遅れて植え付けた場合には春の花は取り除いて次の年のために苗を充実させるようにします。
 私は狭いボーダーの後ろに長い列を作って植えてみましたが、花と一緒にグループで植えるほうが好きです。3株一緒がとても見栄えが良いですが、用心しなくてはいけないのはイチゴは成長が旺盛なことで、株の間隔は少なくとも45cmはあけておく必要があります。

 植え付け時に大事なことは、苗のクラウンが地面と同じレベルになるようにすることです。浅すぎると霜が苗を浮き上がらせてしまうし、深すぎるとクラウンが腐ってしまいます。しっかり植え付けて水をたっぷりやります。ひどい霜が降りたあとには、苗が浮き上がっていないか確認しましょう。



手入れ Cultivation


 イチゴは害虫から守る以外は特に注意点はありません。私たちの友人であるナメクジや鳥たちもあなたの大事なイチゴの実を食べたいと思っています。ですから、最初に小さな実がついたら葉の下に藁を敷いて地面から実を十分持ち上げておきます。藁のの代わりにフェルトの敷物も使われます。いずれもガーデンセンターで手に入ります。これで実が泥で汚れるのを防ぎ、ナメクジの通り道からも離すことができます。

 あまり熱心になりすぎて、葉の下にマルチをするのが早すぎるとよくありません。花がさいているときにそれすると、地面に残る地熱から花を隔離してしまうので、霜の害を起こすことがあります。

 鳥は常に問題ですが、ネットをすれば簡単に対処できます。ネットは単にかぶせるのではなく、しっかり張るようにします。そうすれば好奇心の強い鳥がネットに足をからませるのを防いでくれます。

 実が大きくなってきたらよく水をやるようにしますが、これも早すぎてはいけません。花の時期が終わる前に水やりをしすぎると、葉が茂ってばかりで収穫は減ります。

 収穫のあとはもし敷物をつかっていたならそれは取り除き、ハサミで切り戻します。クラウンのすぐ上にある古い葉は全部切ってしまいます。切ったときはちょっとやりすぎかと思いますが、すぐに回復して新しい葉が成長してきます。切った葉と、もし藁を使っていたら藁も全部取り除いて堆肥の山に入れます。そして雑草を抜いてやれば、冬への備えも終了です。



収穫 Harvesting


 定期的にイチゴに柄をつけたまま収穫します。実だけとると柄からカビ性の病気になりやすいからです。

 ジャムにする以外にはイチゴは貯蔵はできません。冷凍することもできますが、軟らかくて水っぽくなりひどい味になります。


促成栽培 Forcing


 最初の収穫は温室での早生品種の促成栽培で始まります。根が出やす母株からのランナーにも実が付きます。

 培養土をいれた鉢を株の近くの土に埋めて、6月にランナーをみつけたら鉢の土の表面にワイヤーピンで固定します。数週間で根が出て親株にできます。ウイルス病の危険があるので、屋外の株の更新にこの方法は勧められません。新しいウイルス検査済みの苗を知られているナーセリーから購入してその危険を少なくするべきです。しかし、促成栽培の株はあとで捨てられるため、特に害はないでしょう。

 そうするか、購入するか、いずれにしても8月には土を含まない培養土をいれた18cmの鉢に植えて屋外に置いておきます。冬には鉢は乾燥気味に管理しますが、そのためにコールドフレームに入れるか、あるいは鉢を横に向けて外に置いておきます。

 2月までは温室に入れてはいけません。それは、イチゴは寒さに合わないと実がつかないからです。2月までには何度かよい降霜があっているはずですから、そしたら温室に入れ、あとは実がついて収穫を待つだけです。たくさん収穫できるわけではありませんが、少しでもとても貴重なものです。

 このあとはクローシュやコールドフレームでの促成栽培での収穫が始まります。早生の品種を使って2月までは屋外に置いておきます。収穫のあとの株は掘り上げて捨てたほうがよいでしょう。

 秋に収穫する品種の場合は、クローシュをかぶせられる場所に植え付けるのがよいでしょう。そうすれば最後につく実を保護して収穫期間を延長できます。


コンテナ栽培 Container growing


 イチゴは桶やハンギングバスケットで育てることもできます。一年草の花と一緒に植え付ければとても魅力的に見えます。桶の縁に近いところに植え付けると実が縁から垂れ下がって見た目もよく、収穫もしやすくなります。

 コンテナに植える他の植物と同じように、定期的な水やりと月に一度ぐらいの液肥をやるのを忘れないようにします。むずかしいのは草花はイチゴより肥料が少しよけいに必要なことで、分けて与えることはできないので、どちらかといえばイチゴに合わせてやるのがよいでしょう。

 イチゴポットは人気があり、パティオではとてもエレガントに見えますが、ひとつ欠点もあります。それは鉢の一番下の方まで水をやるのが結構むずかしいことです。水はけのよい培養土を使いますが、私はよい土と庭の堆肥、そして砂を等量に混ぜたものも良いと思います。そして中央にパイプを底のほうまで通しておくと、パイプに水を注ぐことで鉢のそこまで水やりが容易です。

 この方法も必ずしもうまくいくとは限りません。そこで他の植物も一緒に植え付けるようにしました。上のほうにはイチゴを植えますが、下のほうは土が乾くことが多いので乾燥に強いハウスリーク(多肉植物)を植えて、見栄えにも効果的です。