第2章 デザインとプランニング: 大きな庭


第2章 デザインとプランニング Design and Planning 


ఔ 大きな庭 THE LARGE GARDEN ఔ



 大きな庭では花や果樹、野菜を同じ花壇に植える必要はないとあなたは感じるかもしれません。何といっても、あなたが欲しいと思う装飾的な要素をすべて配置できるだけの十分な広さがあり、伝統的な野菜畑のためのスペースは残されるでしょうし、果樹園も作れるかも知れません。まさにその通りですが、混植することの明らかな利点を忘れないで下さい。

 広い多様性をもった植栽は野生生物(害虫とその捕食者)の均衡のとれたコミュニティーをつくりあげるのを手助けし、単一の生物だけが問題を起こすことを防ぎます。また、果実や野菜を混植した植物で見えにくくするために、視覚で宿主植物を見つけている害虫を惑わせることができます。さらに、一区画に集めて植えられている場合には急速に植物から植物へと伝播していくような病気でも、ばらばらに植えられていると、病気が広がるのを阻止しやすくなります。そして最後に、混植は見た目に美しく、簡単で、しかも楽しいものです。

 基本的なデザインの原理は小さな庭で述べたものと同じですが、ひとつふたつ他の難しい点がありますし、いくつか他の要素を加えるスペースもあります。

 私の庭の例の第一の「問題」は、家から上がっていく斜面にあることです。多くの庭園が同じ問題をかかえていますが、悪いことばかりではないと思います。実際、斜面は庭の高さの面白い変化をもたらしますから、利点とも見えてきます。斜面での庭仕事は大変ですから、斜面をそのままで利用する必要はありません。

 庭を階段や急斜面の土手でつないだ何層かのテラスにするのが良いと思いますが、その際はちょっと知恵をしぼる必要があります。もしいくつもの垂直の擁壁を端から端まで斜面に作ると、効率的に庭をいくつかの細長い区画に分けることができます。しかしこの方法では遠近法効果を避けられず、とても退屈に見えてしまいます。私の庭では、直線を避けてジグザグにテラスを配置しするようにしました。

 舗装した部分は排水をよく考えてつくります。庭の斜面が家より高くなる場合は特にそれが重要です。さもないと、急な大雨でパティオが池になってしまいます。

 第二の「問題」は、2本の根付いた木です。切り倒すのは明らかに罪悪を感じますので、デザインに取り込むことにしました。家に近い方の木の下にはグラスを用いましたが、芝生とは違って長く伸びるままにして、年に2回だけ刈るようにしました。グラスと一緒に花の咲く野草を一緒に植えて、魅力的な花の咲く「草原」を作ることもでき、草原は鳥や昆虫を惹きつけるのにも役立ちます。狭い野草の草原であっても、夏には蝶の羽ばたきやミツバチや花アブの羽音で満たされるでしょう(後述の野草の草原の項を参照)。

 もう一本の木の下には腰掛を置いて、その周りには乾いた日陰でも育つゼラニウムやイカリソウなどのグランドカバー植物を植えています。

 広い庭を作るのはやはり費用がかかります。ですから、舗装の飛び石や敷石のような高価な材料を使わずに、安くあげてみました。パティオからの階段の踏み石は舗装とマッチさせるために石を使いましたが、他のところは枕木を使いました。枕木は園芸雑誌の広告欄から入手は容易で、石より安価で設置も容易です。通路は砂利を敷いて費用を安くおさえました。もしあなたが望むなら、もちろん後で踏み石を加えることもできます。

 ここでは、フルーツアーチのためのスペースもあり、リンゴや洋ナシを育てることで連続して収穫を続けることもできるようになります。アーチはビニールで被覆した鉄製のものがあり、2年もすると両側の果樹の枝が中央で交わり、とても素晴らしく見えます(第8章の果樹の形の項を参照)。

 ほかに、大き目の池のスペースも取れますから、カエルのコロニーを育てることもできます。カエルは私が知る限り、ナメクジの最も良い駆除手段です。池はブチルラバーの防水シートを使ってつくり、人工的な湿地を加えることで育てる植物の種類を増やすことができます。池の背後に植物を植えれば少し遮蔽されるので、池に水浴びや水を飲みにくる鳥たちをあなたはアーバーの下に腰掛けて眺めることができるでしょう。装飾的な魚は、カエルの卵や水を飲みに来るある種の昆虫たちを食べてしまうので私は池では飼いません。

 家に近い花壇はレンガや石で囲うこともできますし、枕木も使えます。そしていろんな目的に使用できます。もし庭の土がアルカリ性なら、花壇には酸性の土を入れることで酸性を好む植物、例えばシャクナゲやツツジ、アセビなどを育てることができます。また、もしあなたが料理好きなら、ハーブガーデンにすれば台所からすぐ手の届くところにハーブを育てられます。

 狭い庭に比べると作業スペースも少し広いので、少し大きな四角い温室も置けます。広い庭ではもちろんより多くの苗を育てる必要が出てきます。コンポスト用のスペースも広く必要になります。わたしは2つでなく4つのコンポスト置きをつくりました。このタイプの庭ではありあまるような堆肥を作ることは難しいものです。