第3章 庭づくりと栽培: 庭の池


第3章 庭づくりと栽培 Construction and Cultivation 


ఔ 庭の池 GARDEN POOLS ఔ



 ガーデナーは広く宣伝されている問題点を理由に、しばしば水を使う庭の構造物を避ける傾向があります。コンクリート製の池はよく水漏れし、設置してから数週間で水周りは明るい緑か、あるいはヘドロの茶色になってしまいます。そう、たしかにこうした問題は持ち上がってきますが、しかしそうならないように予防するのも実に簡単なのです。唯一あなたが考慮しなければならないことは、家族の小さなこどもです。どんな大きさや深さの水でも小さなこどもには危険であり、危険を冒す価値がないことはもちろん否定しません。

 それはさておき、装飾的菜園では池は多かれ少なかれ必要なものです。池は害虫をコントロールするのを助けてくれる野性の生き物を強力に惹きつけてくれます。そして、あなたの庭にもう一つの興味を加えてくれます。すなわち、まったく新しい範疇の植物を育てられるようにしてくれるのです。

 小さな庭では、池も小さくつくる必要がありますが、このことがしばしば緑の藻類の問題を引き起こします。しかし、直径60cm程度の小さな池でも水を透明に保つことは可能です。水はできるだけ冷たく保つ必要があり、そのためには池を日向に設置するのは避けるか、または周りに植物を植えて日陰にするようにします。できるだけ深くし、夏には水面に植物を浮かべ、陰をつくるようにするのです。


樽の池 A barrel pool

 私の庭の池はとても小さいです。直径60cmの木製の樽を半分に切ったものを地中に埋めてつくっています。これは実に簡単な方法です。もちろん樽の上端が水平に設置されて、縁全体に水面がくるようにするのが大切です。それには水準器を使って各方向で同じ高さになるように調整します。

 野生生物にできるだけ魅力的になるように、池の底には土を入れて水性植物を植えますが、水際の植物を大きなポットに植えて樽に入れます。レンガの上に載せてポットの上端が樽の縁の上端と同じ高さになるようにします。次にポットの中に大き目の石を入れ、縁とオーバーラップさせて小さな防波堤のようにします。これがあると、野生生物は水に入っても水中からはい上がることができます。また、鳥が水飲みや水浴びに来る場所にもなります。それを診るのはとても楽しいものです。

 池の周りにも小石を少し置いて仕上げると、周囲の植物が成長するにつれて樽の縁を隠してくれて周辺によくなじんできます。水は最初は濁っていますが、洗って掃除してはいけません。水を緑色にする藻類は水のミネラル分と日光で育ちます。ミネラルが使い果たされて、植物で日当たりもさえぎられてくると消えていきます。





大きな池 A larger pool

 大きめの池をつくるのにはブチルラバー製の防水シートを使うのがいちばん良い方法でしょう。これがいちばん安い材料で、しかも耐久性に問題なく一生ものです。この防水シートの下には、鋭い石の角などで穴があかないように繊維性のシートも敷いておく必要があります。注文する際には、池のサイズに加えて、池の深さの二倍とシートを固定する部分30cmを足したサイズで注文します。

 まず、池をつくる予定の場所に杖などを使って印を描きます。もし芝生のところなら予定のサイズより30cmほど広く芝をはいで、防水シートの固定用のスペースを確保します。

 池の周囲の防水シートが見えないようにするために、周囲の高さを同じにします。木釘を使って高さを水準器で確認して、高いところは土を削り、低いところには土を足します。

 池を掘る際には、少なくとも一方は傾斜がゆるやかになるようにします。そうすれば野性動物が池に出入りしやすくなります。いちばん深いところでも75cm以上掘る必要はありません。繊維性のシートを掘った穴にかぶせて、ゆるやかにくぼみにフィットさせて、縁の部分はレンガを載せて押さえます。その上に防水シートをかぶせ、池の周囲へはみ出したシートにたくさんのレンガを使って押さえておきます。

 水を満たしていくと、水圧で防水シートと繊維性のマットは地面に押し付けられて穴の形がはっきりしてきます。シートが沈み込んでいく際にはシートを押さえているレンガの位置を変えたりしてシートの動きを妨げないようにし、あちこちにできるひだを折り込んだりしてきれいに仕上げます。

 水が池の縁まで入ったら給水を止めて、周囲のシートを15cm幅で残して切り取ります。上に土をかぶせてシートをみえなくし、芝で縁を隠すこともできます。

 理想的には防水シートは薄い土の層で全体をおおい隠し、水際はゆるやかな傾斜にして大きな石ころを置いて、水棲動物の繁殖の場所にし、陸棲動物の池への出入り口にします。

 水中植物、酸素を発生させる植物、そして水際の植物を直接土に植えれば、より自然にみせる効果があります。




沼地の庭 The bog garden

 池に接する沼地は、他のところでは育たないような別の系統の植物を育てられる驚くべき場所を提供します。いつも湿っている土を好むたくさんの種類の植物があります。例えば、プリムラ、キングカップ(Caltha palustris; キンポウゲに似た湿地植物)、キンバイソウ、ミムラス、などなどです。これらに理想的な条件をつくってやるのはむずかしくはありません。

 池のための穴を掘った際に、隣り合ってもうひとつ穴を掘り、二つの穴の間は土の壁を残してきます。池のほうの縁の周囲の高さを水平にしたあと、池の間を隔てる土を5cmほど取り除いて池から水が少しずつ入ってくるようにします。沼地の庭の穴の深さを部分的に変えて土の厚みの違う場所をつくっておけば、小さなキングカップから巨大なルバーブに似た大きなGunnera manicataまですべての湿地植物を育てることができます。

 防水シートを敷いた上に土を戻せば、それですぐに植えつけられます。水が蒸発する面積が広くなれば早く池の水位が下がるのに気づくはずです。もし5cm以上推移が下がると沼地は乾燥してきます。ですから時々必要に応じて池に水を入れなくてはなりません。池と沼地に適した植物は第5章の池と沼地の植物の項(p.165)に詳しく書いています。