第9章 ソフトフルーツなど: (6) ブラックカラント

第9章 ソフトフルーツなど  SOFT FRUIT - AND SOME OTHERS



ఔ ブラックカラント BRACKCURRANTS ఔ



 ブラックカラント(クロスグリ)は落葉性の果樹で、ビタミンCに富み、育てやすくよく実もつきますが、残念ながらあまり美しくはありません。それでも、ごく普通の葉と目立たない花のブラックカラントをもっと違ったものに仕立てる方法を見つけなくてはと思います。しかし公平を期すれば、光沢のある黒い果実は魅力的で、この果樹は素晴らしい香りもします。壁に一種のファン仕立てのようにして育てているのを見たことがありますが、見栄えはよくないので、この方法は感心しません。低木として育てるのにこだわって、その芳香と期待以上の収穫に満足するのも良いでしょう。


品種 Varieties



'Ben Sarek'は新しい品種で、形がコンパクトなので庭での栽培品種としては人気がでるでしょう。ふつうより樹高は低いですが、とてもおいしい果実をたくさんつけます。

'Ben More'は大きく育つ品種で、花がさくのが遅いので寒い地方の庭に向きます。収量は多く、味もよい品種です。

'Ben Lomond'は味や大きさはほとんど'Ben More'と同じですが、花が早く咲きます。温かい地方の庭に向いています。



植え付け Planting



 繰り返しますが、購入は果樹専門業者から買うべきです。なぜなら、たくさんの品種を扱っており、ウイルス病にかかっていないことを保証できるだろうからです。1年生の苗を買い、よくガーデンセンターで見かけるくたびれた二年生や三年生の苗は避けるようにします。

 ブラックカラントは「スツール」として育てて、株の一番下からたくさんの若い枝が伸びるようにします。ナーセリーで育てられた時より5センチほど低く植え付けます。装飾的菜園では、グループとしてではなく、一本一本を別々に植えるのがベストです。そして見栄えを良くするためにまわりに草花を植え、害虫からもカモフラージュするようにします。複数の苗木を植え付ける場合は、間隔を少なくとも120cmはとるようにしますが、'Ben Sarek'の場合は90cmで良いでしょう。この庭では肥やしと堆肥を加えて土を準備しますが、ブラックカラントではこれは特に大切です。養分をたくさん必要とする果樹なので、骨粉などをぱらぱらとまいておきます。ガーデンセンターではいつでも購入は可能ですが、植え付けは落葉しているときがベストです。


剪定 Pruning


 植え付けてすぐに地面から2.5cmの高さですべての枝を強剪定します。植え付けたその年には実はつかないことになりますが、すべてのエネルギーを株の充実にあてることができ、次の年に実をつけるための新しい成長を可能とします。

 最初の冬には特にすることはありません。弱い枝の剪定だけです。次の冬には収穫ののちに強剪定を開始し、毎年冬にはこれを繰り返します。実をつけた枝を切り、次のシーズンに実をつける新しい枝のみ残すのです。

 古くなってきた果樹では、株の元からの枝が出にくくなってくるときには、古い枝からの側枝を短く切り戻す必要があるかも知れません。


手入れ Cultivation


 果実が大きくなり始めたら、しっかり水やりをします。もちろん、雑草を取り除くのも大事です。毎年2月には骨粉などを与え、堆肥か肥やしでマルチングをします。鳥にも注意が必要で、ウソなどは春に芽をついばみ、その後はあらゆる鳥たちが実を食べに来るからです。ネットで覆うのが正解ですが、鳥が中に入らないようにしっかりと張ります。


収穫 Harvesting


 収穫では軸をつけた状態でとるようにします。軸は簡単にフォークで取ることができます。ブラックカラントは瓶詰にしたり、ジャムにしたり、冷凍することもできます。


ふやし方 Propagation


 お金をかけないためには苗は一本だけ買って、剪定した枝を休眠枝挿しに使って増やします。冬に若い枝を使って行います。よく切れる剪定ばさみで挿し穂の上下を切って20cmほどの長さにしますが、一番下の芽のすぐ下と、一番上の芽のすぐ上で切ります。芽はすべで残しておき、上から3つの芽を地上に出しておきます。しっかり靴で周りを踏み、秋まで放置して、それから最終的な場所へ植え付けをします。