第10章 害虫、雑草、病気の管理: 味方を元気づける

第10章 害虫、雑草、病気の管理 CONTROL OF PESTS, WEEDS AND DISEASES


ఔ 味方を元気づける ENCOURAGING YOUR ALLIES ఔ



 装飾的菜園のガーデナーの基本的な戦略は、できるだけ多くの種類の植物を植えて有害な農薬は使わないことであるべきです。それが野生の生き物たちのバランスを保ち、一種類だけが繁殖して脅威にならないようにする確実な方法なのです。しかし、奨励すべき特別な味方たちもいます。

 ハナアブはアブラムシ退治を得意とする昆虫の一つです。アブラムシのいる所に卵を産みつけるので、卵からかえった幼虫はすぐに餌にありつけます。しかもたくさんのアブラムシを平らげます。第5章に書いているようにハナアブの成虫のメスは卵を産む前にえさとして花粉が必要です。ハナアブの口吻は短いため、開いた構造をもつ花を好みます。落とし卵草、矮性のセイヨウヒルガオ、フレンチおよびイングリッシュ・マリゴールドなどが一番好きです。

 ハナアブは天敵から自分を守る巧みな方法をとっています。 体は少し小さいですが、スズメバチと同じような腹部の縞模様をもっているのです。あなたの庭で小型のスズメバチのようなハチが飛んでいても心配は要りません。殺さないで下さい。

 テントウムシやクサカゲロウもたくさんのアブラムシやその他の害虫を食べてくれますが、彼らを特に惹き付けるような植物はよく知りませんので、多彩な植物を常に植えておくのが良いでしょう。



 いったんいろんな昆虫が庭にくるようになると、当然鳥たちもよく来るようになります。鳥はアブラムシやイモムシ、ナメクジやカタツムリなどを食べてくれます。しかし鳥から守ってやりたい味方の昆虫もあります。菜園での防衛政策はNATO(北大西洋条約機構)よりもずっと複雑です!

 オサムシは素晴らしい友人です。大きな黒光りする胴体と獰猛な感じのあごを持っているので一見友人のようには見えないかも知れません。ナメクジやイモムシならとても怖いでしょうが、ガーデナーは何も恐れる必要はありません。オサムシはナメクジやカタツムリ、イモムシなどを平らげてくれてとても役に立ちますし、コガネムシやコメツキムシの幼虫にも立ち向かってくれますから、元気づけてやりましょう。

 彼らは肉食性ですから、どうしても増えるのには限界があって、庭にはたくさんは飼えませんが、あなたにできることは隠れ場所を提供することです。彼らは夜に狩りをしますが、昼間は私たちの味方である鳥たちに狙われます。ですからグランドカバーや石板など隠れる場所を作ってあげましょう。

 ヘッジホッグはもっと難しいですね。彼らは数日あるいは数ヶ月居たりしますが、 ジプシーと同じでずっと住み着いてはもらえません。しばらく滞在させるためにパンとミルク(彼らにはあまり良くない)、あるいはドッグフード(こっちの方が良い)を与えたりしても良いかも知れません。そうすればとても慣れてくれます。しかし餌を与えすぎると狩りの必要性がなくなるので、見て楽しむのにはよいでしょうが、狩りは怠けてしまいます。

 彼らを元気づけて働き続けさせる最良の方法は、繰り返しますが、隠れ場所を与えてやることです。丸太や木切れを積んで彼らが入り込めるようにすると、そこで繁殖をしてくれるでしょう。焚き火をするために木を積んでいるところは、ヘッジホッグの家になっていないことをよく確かめてから火は着けるようにします。

 カエルは優れたナメクジ退治家で、いったん住み着いてくれれば庭をとてもすっきりさせてくれます。昆虫もたくさん食べますし、えり好みはしませんので、害虫だけ食べてくれるというわけにはいきません。

 もちろんカエルは水が必要ですから池がないといけません。そして卵が池の表面近くにいられるように池の中には草がたくさん生えていることが大切です。もし池がビア樽のように縁が急なものの場合は、小さなカエルが水から這い出るための手段が必要になります。池のまわりに水面に接するぐらいの葉のある植物があると理想的です。

 カエルを住み着かせるためには友人から卵を分けてもらったり、援助してくれる地域のナチュラリストの団体に相談したりしてみましょう。野性のカエルを捕まえてくることはやめましょう。卵が生まれるとおたまじゃくしになってカエルになり、毎年池に戻ってきて繁殖します。ヒキガエルも概ね同じような習性ですが、少し深めの池を好むようです。60cmぐらいの深さが理想的です。カエルの卵は形の定まらない大きな塊をつくりますが、ヒキガエルの卵は長いひも状につながっている点が、両者の特徴です。