第5章 装飾的植物: つる性植物

第5章 装飾的植物  DECORATIVE PLANTS



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 つる性植物は一般に成長が早く、多かれ少なかれ短期間に庭に高さを加えてくれます。壁やフェンスをおおうように使うこともできますし、誘引した果樹と一緒に育てられます。もちろん果樹を上回るような成長をしないようにコントロールが必要です。つる性植物におおわれてしまうと成長が悪くなって収穫も減りますから、あまり成長の勢いが強くない種類だけを使うのがベストです。

 パーゴラやアーバーの上にはそれぞれの支柱からつる性植物が成長して茂り、彩りと香り、そして日陰を提供してくれます。ここではオーナメンタルな植物をつる性の果樹や野菜と自由に混植できます。つる性植物は自分で喜んではい上がっていきますから、ほんの少しの剪定と誘引をしてやればあとは最後まで放っておいてかまいません。

 つる性植物はあまり勢いの強くないものであれば低木や樹木に絡ませて季節外れの彩りとして使うのにも便利な植物です。しかし品種選びには十分気を付け、茂りすぎたらいつでも剪定できるように剪定ばさみを準備しておきます。


ホソバツルウズ Aconitum volubile

 青い花を咲かせる多年草で、トリカブトに似ています。冬には完全に枯れますが、春にはまた現れて240~300cmに達します。低い樹木や低木に絡ませるととても素晴らしく、フェンスやパーゴラでも育てられます。


オニマタタビ Actinidia chinensis

 この一種のキウイフルーツは旺盛につるを伸ばして成長する低木で、その赤い新枝はハート形の葉とともにとても魅力的です。実をつける品種の苗木を雌雄それぞれ購入すれば、温かい地方では食べられる実がなります。花色は明るいクリーム色で香りがあり、夏の終わりに咲きます。


ミヤママタタビ Actinidia kolomikta

 白い香りの花をつける変わったつる性植物ですが、その葉は緑に明るいクリーム色とピンクの斑が入り、主にその美しい葉を目的に育てられます。葉のきれいな斑が入るために日当たりのよいところに植えます。


ツルウメモドキ Celastrus orbiculatus

 この植物は強くからみつく性質の低木で、秋に茶色のさく果が割れて中の輝く赤い種が見えてきます。そして同時に葉は黄金色に色づきます。ご想像の通り、それは素晴らしい光景です。


クレマチス Clematis

 間違いなくもっとも人気のあるつる性植物で、それも当然です。花の形のバリエーションがたくさんあり、花色もたくさんの色から選べます。花の咲く時期もさまざまです。低木やパーゴラにからませる場合は、あまり生育が旺盛でないものを選びましょう。モンタナ系 C. montana や、ゴールデン・クレマチス C. tangutica のような広がりすぎる品種は、よほど大木でなければ全体をおおい尽くしてしまいます。クレマチス・ビチセラ C. viticella や、早く花が咲くのがよければクレマチス・アルピナ C. alpina などがよいでしょう。大輪の花をつけるガーデン用の交配品種もよいでしょう。剪定の原則は、花が六月以降に咲く種類の場合は二月に地際で剪定し、六月より前に咲く種類は剪定しないか、もし手に余るように成長している場合は側枝の一部を切り戻すとよいでしょう。


エックレモカルプス・スカベル Eccremocarpus scaber

 温かい地方では常緑ですが、寒い冬には地上部は枯れてしまい、春から夏に360cmぐらいまで成長します。黄色からオレンジ色の管状の花が夏にたくさん咲き続けます。フェンスやパーゴラの上に誘引すると効果的ですが、低木にからませるのはあまりに茂りすぎたりして良くないかも知れません。種がよくできますから、厳しい冬に万一枯れることを考えれば、種はとっておきましょう。


ヘデラ Hedera

 ツタ類は壁やフェンスに自分ではい上がっていき、多くの昆虫の住み家や鳥の巣をかけるスペースを提供しますので、大変役に立つ植物です。黄色や銀色の斑入りの品種もいくつもあり、素敵です。

ホップ Humulus lupulus 'Aureus'

 ゴールデン・ホップは生育旺盛なやさしい緑色の葉をもつつる性植物です。ビールの好きな菜園のガーデナーならこのホップを育てたくなるでしょうが、庭にはちょっと大きく育ちすぎるでしょう。


オウバイ Jasminum nudiflorum

 壁をおおう低木として人気があります。明るい黄色の花が11月から3月にかけて裸の枝々を飾ります。


コモンジャスミン Jasminum officinale

 普通の白いジャスミンは強健なつる性植物で、パーゴラやバラのアーチ型ドームに最適です。六月から九月まで強い香りをもつたくさんの白い花におおわれます。


トケイソウ Passiflora caerulea

 別名パッションフラワーともよばれ、旺盛に枝を伸ばして青や白、あるいはピンクの花を咲かせるには温かい南向きの壁やフェンスが必要です。温かい地方以外では地上部は冬は完全に枯れます。


ロドキトン Rhodochiton atrosanguineum

 このほっそりしたつる性植物はパーゴラやバラのドーム型アーチなどに他の植物と一緒にからませたり、低木にからませたりするのに理想的です。茂りすぎて迷惑することがなく、夏の間じゅう黒い萼をもった管状の赤紫色の素晴らしい花が咲きます。寒さに弱いので霜がおりたら切ってしまいます。毎年採取した種から簡単に育てられます。


バラ Roses

 バラのドーム型アーチにバラよりもよい植物はもちろんないでしょう。つる性あるいはランブラーのバラを選びましょう。つる性のバラは成長はそれほど旺盛ではありませんが春から秋まで繰り返し咲きます。ランブラーは非常に旺盛に広がりますが、普通一年に一度しか咲かず、まれに二度咲くことがあるぐらいです。さまざまな花の色や形から選べますが、この菜園では念頭に置いておかなければならないことがあります。バラは黒点病やうどんこ粉病などカビの病気に弱い性質があるので、できるだけ病気に抵抗性のものを選ぶことです。毎年病気にかかるバラがあるなら、引き抜いて抵抗性の強い他のバラに植え替えるのがベストです。


チリ・ポテト・ツリー Solanum crispum

 ジャガイモの近縁種であるこの生育旺盛なつる性植物は、ジャガイモの花に似た中心が黄色で花びらが濃い紫の花をつけます。'Glasnevin'という品種は六月から九月ごろまで長い期間花をつけます。


スイートピー Sweet Pea

 よく知られた一年草のつる性植物で、種から簡単に育てることができ、樹木や低木、あるいはパーゴラやドーム型アーチに誘引するのに最適です。たくさんの花色から選べますが、香りのある品種を是非お勧めします。


タマノウゼンハレン Tropaeolum tuberosum

 ナスタチウムに近縁の植物で、魅力的な葉をもち、オレンジから赤い色の花をつける素晴らしいつる性植物です。'ken Aslet' という品種がおすすめで、夏の間ずっと花をつけます。寒さに弱いので秋に塊茎を掘り上げ、ダリアと同じ方法で保存します。春にまた植え付けます。


ブドウ Vitis

 ブドウは素晴らしい生育旺盛なつる性植物で、美しい葉をもち秋には赤や紫色に紅葉します。大きなハート形の葉が秋に鮮やかな深紅色に染まるヤマブドウ V. coignetiae のような、美しい葉を目的に植えられるブドウもあります。あるいは、ブドウの実をつける品種は、実が見た目に美しくて、しかもワインを作ったり、デザートにしたりできます。